エキゾーストバルブの役割
MVアグスタのF3やドラッグスターRRの様なツインインジェクターのエンジン搭載車種に乗っている人達の永遠の悩み、エキゾーストバルブエラー。
エキゾーストバルブの役割というのは車検に対応させる為の機能と言い切っても過言ではないと思うが、建前はエキゾーストパイプの内径をバタフライバルブの開閉にを変化させ、下記を達成させることなんだと思う。
・低回転域ではパイプ径を絞って排圧(排気抵抗)を高くし、トルクを稼ぐ
→低回転域ではトルク重視
・高回転域ではパイプ径を最大限広げて流速(排気効率)を上げ、パワーを絞り出す
→高回転域ではパワー重視
ただアグスタはこの制御が煮詰め切れていないのかエラーが頻発!「STOP ENG」と出てユーザーを驚かせまくっている。
バルブを全開に固定しておけばエラーが出ても特に問題は起こらないが、フューエルランプが点いてからの走行距離が走行中に見られないのがとても不便。いつから点いていたかを確認するには一時停止する必要がある。それにサイドスタンド払ってない時と同じ場所にエラーランプが点くので、サイドスタンドを払い忘れてギアを入れてエンストってことも…恥ずかしい。
エラー発生のメカニズム
本題のエキゾーストバルブエラーについてだが、通常イグニッションON時にエキゾーストバルブの開閉を行っているサーボモーターの原点復帰が行われる。
ここでサーボモーターのエンコーダが位置を検出できなかった場合、エラーが発生する。
また走行中も同様に、エンコーダが位置を検出できなくなった場合にエラーが発生する。
そしてなぜエラーが発生するかだが、
・サーボモーターのウォームギア摩耗により正常な位置が検出できない
・エンコーダの閾値が狭く、機能上問題の無い位置にいてもエラー判定となる
・エンコーダ自体の不良
等が考えられる。
これらは全て設計段階での不具合であり、これを煮詰められていないのは技術力不足としか言いようがない。
サーボモーターはMIKUNI製なのでコストが折り合わず妥協した線も考えられるが…。
エラーが発生したらどうなる?
そしてエラーが発生するとメーターに「STOP ENG EXHAUST VALVE」と表示される(走行中は「MALFUNCTION」と表示)
私はバルブを全開固定にしていたのでエラーが出たままでも気にせず3に乗っていたが、サーキットを走行した際にエラーが出ている時と出ていない時で回転数の伸びに違いがあるのでは?と感じた。そして知人やショップの方との情報交換を通じ、エラーが出ているときはフェールセーフ機能が働くことによって低回転時のギクシャクや吹け上がりに影響がありそうだということが分かってきた。
何れにせよ、エラーが出ているのだから処置は必要ということだのだろう。
解決方法
エラーの解決方法は以下の4種類があると思う。1と2を行った場合はエラーが解消されてもエラーログは残っているのでディーラーで診断機を当ててもらいましょう。
ここで注意しなければならないのは、単にメインハーネスとサーボモーターのコネクタを抜いただけではサーボモーターの信号を受け取れない為に常時エラーが発生してしまう。
1.ワイヤー調整

エキパイがノーマルならこの方法が取れるが、所詮は現象対策なので正直無駄だと思う。一時的に直るかもしれないが、再発する未来しか見えない…。調整するのは写真のサーボモーターではなくてエキパイにあるバタフライバルブ。この方法は勧めないですが、調整方法を知りたい人は他のブログを調べてみて下さい。
2.Heal-Tech製のExhaustサーボキャンセラーをインストール(約7000円)

安価かつ簡単に実施できるが、商品サイトではF3だけ非適合となっている。ハンガリーにあるメーカーに確認したらF3は生産ロットによってメーターのサプライヤが異なるので、正確な適合が取れないためらしい。私も購入したが取り付け直後はエラーが消えたがECUが学習するとエラーが再発してしまった…。取り付け方法はサーボモーターに繋がるコネクタをキャンセラーに繋ぎ換えるだけで非常に簡単。
3.RCモデルに付属するECU又はアグスタコルセのレーシングECU(RCに付属のECUと同じ)をインストール(580€~730€:約7.4万~9.3万円)

いわゆるレーシングECUに交換することでIG-ON時のエキゾーストバルブチェックを実施しないようにできる。EURO3のモデルであれば安く済むが、EURO4モデルは高い。保安部品はちゃんと機能してくれる。
4.ECU StudioでROMを書き換え(€475:約6万円)

これが最安値の方法だと思うし、私もこの方法で対応した。おかげでエラーから解放され非常に快適となった。近くに書き換えができる人がいればライセンス料だけで済むので、もっと安くなると思う。
総括
これまでの内容を簡単にまとめたものが以下。
・エラーの原因はサーボモーターのエンコーダが位置を見失っている
・エキゾーストバルブを全開固定にしておけばエラーが出てもエンジンへのダメージは無い
・サーボモーターをメインハーネスから切り離すと常時エラーとなる
・ワイヤー調整は現象対策なので根本解決にはならない
・エラーを回避したければレーシングECUかキャンセラーをインストールする
必要があるが、F3だけはキャンセラーが使えない
次回は私が実施した項目「4.ECU StudioでROMを書き換え」について紹介予定。
→アグスタF3のECU書換えによるエキゾーストバルブエラー解決
6 comments
う-んすばらしいですね
当方のスーパ-ベロ-チェ800も先日より上記不具合で悩んでおります
仕様としては付属のレースキット(ECU&アロ-官)ですが
走行2000Km位から症状発生いたしました
やはりおっしゃる通りワイヤ-調整するものの再発ですね
致命的ではないものの、これ鬱陶しいですね
コメントありがとうございます。
まさかスーパーベローチェでもエラーが発生するとは思いもしませんでした。
市場品質不具合が全く改善されていないとは驚きです。
そして付属のECUではエキゾーストバルブをキャンセルできないのですね。
2020年式のF3もレースキットではキャンセルできないような話も聞きまして、本当に厄介な機能です。
Filo Rossoさま
初めまして
突然の問い合わせスミマセン
私はMY2016 F3RC-800を所有しています
(本国仕様のROM書換えをディーラーで対応)
エグゾーストバルブエラーに悩んでいましたところ
このサイトに辿り着きました
再三のワイヤー調整、キャンセラーは
ディーラーで3つ試してもらうも相性悪くNGで
今は中古のモーター入れ替えで
エラーが出たり出なかったりの状態です…
エラーの根本的な解消をしたく
助けていただきたく…
具体的な費用や方法含めて
ご教授いただきたいのです
なにとぞ宜しくお願い致します
愛知県 たか
たか様
コメントありがとうございます。
ブログオーナーの吉良です。
再三の処置にも関わらず発生するエキゾーストバルブのエラー、心中お察しします。
こちらからご提案できる処置としましては、エキゾーストバルブの機能自体をオフにする方法となります。
ご連絡の取れるメールアドレスを教えて頂くか、私のツイッターやフェイスブックアカウントへご連絡頂ければ、踏み入ったお話ができるかと存じます。
まずはお気軽にご連絡頂ければと存じます。
早速の返信ありがとうございます!
ツイッター、フェイスブックは
やってませんのでメールアドレスを
連絡させていただきます
です
宜しくお願い致します
たか様
ご連絡ありがとうございます。
記載頂いたアドレスへメールを致しましたので、ご確認願います。
MY2016、Euro3の車両であれば複数実績がございますので、お力になれるかと存じます。